アクセルとブレーキ
~From 開運コラム~
「大人になると楽しいだけじゃないし、過去を引きずるものだよね…」って、いつも明るい幼なじみの友人が言いました。
確かに若い内は、好きか嫌いか、楽しいか楽しくないか、面白いか面白くないか、派手か地味か、嬉しいか嬉しくないか…、フィーリング重視で行動できますし、しかもそれが通用したりします。その代わりに失敗も沢山しますが、行動を決定付ける動機が粗雑で少ない分、思った通りに行動した達成感や納得を感じたり、そもそも失敗を失敗と思っていなかったり…。勢いと、幸せな未来を信じる希望に溢れていて、臆病なんて何処吹く風…アクセル全開ですね。
しかし経験を重ねるにつれ、脳は成長・学習します。恐れずに攻めることを経て、今度は守ることを知ります。攻めと守りを同時に考えることで、動機は複雑化されます。好き嫌いよりも良い悪いで考えたり、かっこ悪いとか恥ずかしいとか、傷付くのは怖いとか我慢とか、責任とか義務とか…。体裁を気にしたり、臆病・面倒になったり、自ら重荷を背負ったりして、行動がしづらくなります。それでも過去の経験・記憶や、周りの大人達を参考にしながら調度良い答えを導き出し、次の行動を決定・コントロールできる大人へと成長します。
コントロールというよりも、「ブレーキ」と言った方が適切かも知れません。ブレーキを持たない大人は、人生や社会と摩擦を起こします。しかし、アクセルよりもブレーキの方がはるかに多くなったとき、脳の思考回路が鈍化して、何でもかんでもストップをかけて前に進めなくなったり、忘れていいことをいつまでも引きずるようになります。
ブレーキを持つことは、一生懸命に生きて色々な経験を積んだ証です。でもアクセルを失うと、人生を切り開くことは出来ません。過去を引きずるのは、ブレーキを引いて精一杯の力を出し切らなかったからかも知れませんね。我慢したり、途中で諦めたりすると、後悔や未練が残っていつまでも引きずってしまいます。自分の中で、「終わり」に出来ないのですね。だから…やっぱり最後まで諦めずに全うし、結果を見届けることが大切且つ必要なのだと感じています。
大人になると、独自の「ものさし」を使って、物事を多方面から認識・直視しようとする能力が高まります。失敗に対する喪失感や苦痛、裏切りへの恨みや孤独感、恋人への独占欲や猜疑心、未来への不安や恐怖…。もしかしたら、素直に喜ぶべきことさえも、「巧くいったのが信じられない」とか、「相手には何か魂胆があるんじゃ…」なんて、複雑に考えてしまう人もいるかもしれません。
失敗を失敗とも気付かない頃は、何事もすんなり受け入れて楽に生活できたのに、大人になって色々なことに気付き、直視・分析し、リアルに感じられるようになると、必要以上の悩みを抱えて動けなります。悲しみも、その悲しみに気付かなければ、悲しいという感情は湧き出ません。人格を上げるためには、悲しみと正面対決することも必要です。しかし何事にも限度があります。アバウトな部分がなければ、ブレーキばかりが増えて、自分も周囲も息苦しくなってしまいます。
当然、幸せも幸せであることに気付かなければ、幸福感を味わうことは出来ません。「何故、幸せなのか?」、「この幸せは本物なのか?」、「幸せだと思っても良いのか?」、「この幸せはいつまで続くのか?」…なんて、何事も正確に分析しようとする癖がついている人もいますが、こんなことをしていたのでは、幸せを感じる暇もないです…よね? 幸せなときは、幸せを素直に感じて良いのです。
世の中には、理屈や原因なんて殆ど影響なくて、「単なる事実」も存在すると思うのです。そこに水があるから飲んだ…みたいに。何故ここに水があるのか、この水は誰が運んできたのか、この水は綺麗なのか、私が飲んでも良いのか、この水はいつまで体内に留まるのか…とか、いちいち考えませんよね。時には、アクセルもブレーキもかけずに、ニュートラルな状態でいることも必要だと思うのです。
アクセルだけで猛突進していたのでは、行き当たりばったりで衝突を起こします。逆に、ブレーキをひいたまま、引っ張ってくれる誰かが現れるのを期待していたとしても、恐らく助けは来ないでしょう。進むべき道が合っているのかを時々尋ねながら坦々と進み続けることで、降って来たり落ちていたりするチャンスを上手にキャッチしながら、目的地に到着するのだと思います。
立ち止まり過ぎて、歩き方さえも忘れてしまっている人も、鑑定や祈祷による後押しによって、トコトコと歩き出す人が沢山います。トコトコはいつの間にかテクテクになって、目的にターッチ!というのを幾度となく拝見してきました。今ではこの感動が、私の生きる意味にもなっています。
人生は、たった1日でガラリと変わったりします。このような天命的な作用が受けられなくても、行動と心が変わることによって、数ヶ月後には全く違う人生を歩んでいる…という人が殆どです。来ない救い者を待ったり、諦めたり忘れる努力をするよりも、自分の人生を好転させる努力をするべきです。そして、自分の人生を投げ出したら、誰も拾ってくれないことを知らなければなりません。
ブレーキをひいたまま、タナボタ(思いがけない幸運)を夢見るのはやめましょう。そもそも棚から牡丹餅が落ちてきた人が、この世に何人いるのでしょう…? そのくらい可能性が低いことに人生を費やすなんて、恐ろしすぎますよね。
幸せは、自分から近付いて行くもの…。そして自分の手で掴むもの…。
私にかかわる皆様が、アクセルとブレーキを上手に使い分けながら、真の幸福へと辿り着けますように…!
That's all for today...good luck !! 20051108writed